第211話 アナザー 二人の高森 その19

文字数 559文字

先生は思い思いの方向に散らばるメンバーを見渡して一人森の奥の方へ入って行った。

地面から湧き上がってくる大地のエネルギーを感じながら更に奥へ行くとそこには、こじんまりとした堂があり裏手にコンコンと湧きだす泉があった。

エネルギーの流れはそこから来ているのはまちがいがない。
まわりに誰も居ないのを確認してからスマホを取り出し電話をかける。

何度コールしても出ない。
相手はたいして事件の依頼も来ない探偵事務所の応接室で眠りこけているに違いなかった。
スマホをカバンにしまって、いきなりお邪魔する事にした。
助手もいないと聞いている。マズイことにはならないだろう。

一応用心の為にトイレの個室に飛んだ。
そこから出て事務所のドアを二回ノックした。
すんなりとドアが開いた。

「……君は?ここの事務所の人?」
出迎えてくれた好青年。あどけなさが残る顔立ち。
どうみても高校生くらいにしかみえない。
「はい。そうですよ……先生に御用でしょうか。今、起こしますね」

爽やかにそう言う彼は事務所奥の応接室の方に行った。

「せんせい。起きてくださーい。お客様ですよ」
「んっ。あっ。また来たのか。君はほんとにしつっこいねー」

身を起こした、この事務所の(あるじ)は言われた方に顏を向け「あっ」と驚いて沈黙した。
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