第306話 アナザー 二人の高森 その114
文字数 557文字
死んだ竜穴から生きた竜穴に導かれアナザー世界からやってきた高森 要。
本当に彼を向こうの世界に還す事ができるのか?
疑念と不安が押し寄せてくる。義之はガシッと正人の腕をつかんで言った。
「一ノ谷君。問題解決に協力してくれますよね」
「いやっ、全力でお断りする」
「一ノ谷君、さもないとアノ事、裕也君にばらしますよ」
「えっ!アノ事?」
言われて正人の顔が蒼くなった。思い当たる伏がありすぎる。
今でこそ退魔の達人扱いされている正人も過去の失敗は数知れない。
「楽しそうですね。なんの話ですか?」
言いながら裕也は紅茶用のポットとマグカップ、小皿とフォークを三つづつお盆にのせて給湯室から帰ってきた。手際よくローテーブルに並べカップに紅茶をそそいでいる。
「いやっ、なんでもない」
ギクリとした正人は慌てて返事をした。
義之の言うアノ事がなんなのかわからないが、弟子の裕也に失敗談を話されるのはたまったものではない。正人は観念して言った。
「わかった。協力する。だから」
「もちろん、ロハ で」
「はあっ?云うに事欠いて図々しい」
「じゃ、やっぱり」
「あーっ、もうわかった。タダでいい。この依頼うけてやる」
やけくそ気味に答えた正人は裕也が入れてくれた紅茶をがぶ飲みした。
本当に彼を向こうの世界に還す事ができるのか?
疑念と不安が押し寄せてくる。義之はガシッと正人の腕をつかんで言った。
「一ノ谷君。問題解決に協力してくれますよね」
「いやっ、全力でお断りする」
「一ノ谷君、さもないとアノ事、裕也君にばらしますよ」
「えっ!アノ事?」
言われて正人の顔が蒼くなった。思い当たる伏がありすぎる。
今でこそ退魔の達人扱いされている正人も過去の失敗は数知れない。
「楽しそうですね。なんの話ですか?」
言いながら裕也は紅茶用のポットとマグカップ、小皿とフォークを三つづつお盆にのせて給湯室から帰ってきた。手際よくローテーブルに並べカップに紅茶をそそいでいる。
「いやっ、なんでもない」
ギクリとした正人は慌てて返事をした。
義之の言うアノ事がなんなのかわからないが、弟子の裕也に失敗談を話されるのはたまったものではない。正人は観念して言った。
「わかった。協力する。だから」
「もちろん、
「はあっ?云うに事欠いて図々しい」
「じゃ、やっぱり」
「あーっ、もうわかった。タダでいい。この依頼うけてやる」
やけくそ気味に答えた正人は裕也が入れてくれた紅茶をがぶ飲みした。