第384話 アナザー 邂逅 その31

文字数 478文字

 葛城 裕也の心がかいま見えたのだ。
 彼は、高森 要を自分の相方にしようとしている。

 陰陽師の相方は特別な意味を持つ。相方は技を習得しなくてもいい。
 だがその代わりに術者に対して自分の生命エネルギーを与え、術者のパワーを増幅させるブースターの役割を果たす。そのために近づいてきたのだと。

 高森 要のオーラは青。
 もともと要には癒しのパワーが備わっている事になる。
 それは先程の裕也の傷を無意識のうちに治してしまった事で証明された。
 相方が癒し手であればなおいい。戦闘中に負った傷は勝手に治る事が多いからだ。

 葛城 裕也は今後も関わってくる。
 確信を持って仁は彼の相貌を目に焼き付けた。

 突然、裕也のそばに立ってる響の眼が鋭くなった。

 角田 護は震えている要に自分の着ていたダンガリーシャツを着せかけてふと顔をあげた。
 何かが近づいてくる。智花も泉も周りを警戒している。

 その場にいた全員に緊張が走った。
 佐藤 仁の側に突如、現れた人体に向かって大山 智花が叫んだ。

「あっ、菊留先生」
「あっ、菊留さん」
 智花の言葉に重なった声の主は意外にも葛城 裕也だった。
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