第240話 アナザー 二人の高森 その48

文字数 700文字

部屋に帰ったオレは、勉強机に向かい。
 連絡帳を確認した後、ノートや教科書を開いて俺の宿題を片づけ始めた。

 彼は明日が期限の三日前にだされたレポートの宿題を
 パソコンに打ち込んであっという間に仕上げてしまった。
 脳みその量は同じはずなのに、オレの頭脳は俺よりよほど優秀らしい。

『フーン。開成南ってレベル高いのかと思ったらたいしたことないんだ』
 角田先輩が聞いたら怒りそうなセリフを彼はサラリと言ってのけ。

 彼の行ってる凪高校の方がよほどの底辺高に見えたんだが、
 柄の悪そうなヤツラに囲まれて凄まれた事を考えても……。

 時計は深夜の一時をまわっていた。
 時間割をしてから彼はようやく床についた。

 オレは翌朝、きっかり6時に眼を覚ました。
 顏を洗って、歯を磨き、前日確認しておいた制服に着替えた。

「あら、早いのね」
「おはよ。ねーちゃん」

 そのまま食堂に行き、
 先にテーブルについて新聞を広げながら朝食をとっていた父親に声をかける。

「父さん、おはよう」
「おはよう、かなめ」
「おはよう、かなめちゃん。飲み物は何がいい。牛乳?ココア?」
「おはよう。かあさん、オレ、コーヒー飲みたい」
「子供のくせに」
「子供じゃないよ。もう16だし」

 母親の問いに提示されたもの以外で答えるオレ。
 ぜんぜん俺とは違う。俺なら素直に言われたもので答えるだろう。
 自己主張が強いと言うかなんというか。

 それにしても、馴染みすぎだろ。ここは彼にとってもアナザーな世界。
 すべてが初対面のような人間のはずだが、家族構成が変わらないためか。
 オレは妙になじんでいる。
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