第236話 アナザー 二人の高森 その44

文字数 437文字

マジで喧嘩売ってる。アナザーなオレは怖いもの知らずだ。
俺だったら絶対はかない言葉をつぎつぎと言い放つ。

よりによって角田先輩に喧嘩を売るなんてまるで異星人だ。
先輩も先輩だ。まともに相手しなくていいのに。
俺に似てる似てないで、なぜ、こんな意地の張り合いになるのか理解に苦しむ。

まだにらみ合っている二人をみやって、俺は思いもかけない展開に『はあーっ』とため息をついた。そして、ふと佐藤先輩の反応が気になり、そちらに顏を向けると彼は眼を見開き愕然とした顔でその場にたちつくしていた。

「佐藤先輩」
角田先輩の声に佐藤先輩は「はっ」と我に返った。。

「用が終わったんで先に帰ります」
「あっ、ああっ、じゃまた明日」
佐藤先輩は気もそぞろな返事を返す。
走り去る車のエンジン音が聞こえなくなると先輩は顏を上げてオレを睨みつけた。

「……高森、おまえはぁーっ!!」
叫びながらダッと走ってきてオレの両肩をつかみ背後の壁に叩きつけた。
背中に傷みを伴い衝撃でむせるオレ。
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