第190話 桜花恋歌 その48
文字数 763文字
次の週に実力テストがあった。
その三日後は職員室の前が大盛況になる。
各学年、各教科の上位20位と全教科合計の上位30位までが職員室前に張り出されるからだ。
結果は散々だった。
連日勉強に身が入らなかったせいもあるが、もともとそんなに成績は良くない。
底辺から数えた方が早い俺は、もちろん上位者名簿に載るはずもなく。
「2年のトップ、また角田かよー。あいつ、ほんと不動だな」
「ここ数日休んでたからトップはガリ勉の田代かと思ったけどな。
田代かわいそう。万年2位で泣いてるぜ」
あの後、角田先輩はちゃっかり実力テストを受けていた。
「すごいな。水田。今回もトップか」
「いやぁー、高森君、まぐれだよ。まぐれ」
一年のトップは予想どうり幼馴染の水田まり子だった。
才色兼備の彼女は、驕ることなく屈託のない笑顔で答える。
当然、普段の勉強態度がモノを言っているわけでまぐれであるはずはない。
3年は誰かと名前を覗き込めば大山智花先輩がベスト20入りしていた。
もともと英語以外はいい成績だったらしいから納得の範疇だ。
結果発表を見た後、角田先輩の姿を求めて。
2年がたむろしている辺りを眺めてみるが見当たらなかった。
おそらく先輩はいつも道理、図書室にでもいるのかもしれない。
学園の一角を彩る森の中にある図書館。
私立とは思えないぐらい蔵書が充実しており大きくて広い空間を有している。
創設当初から植えられた木々に彩られた、どっしりとした重厚感のあるレンガ造りの建物で教会を思わせるアーチ形の天井から吊り下げられた古式豊かな照明器具。
この一角だけが、真昼でもなんとなく薄暗く学園の中でも異質な存在を演出していた。
図書館につながるテラスに設置された丸テーブルと椅子。
そこで肩肘をついて手のひらで顎を支え、庭を眺めている先輩をみつけた。
彼は近づいてくる後輩に軽く手を振った。
その三日後は職員室の前が大盛況になる。
各学年、各教科の上位20位と全教科合計の上位30位までが職員室前に張り出されるからだ。
結果は散々だった。
連日勉強に身が入らなかったせいもあるが、もともとそんなに成績は良くない。
底辺から数えた方が早い俺は、もちろん上位者名簿に載るはずもなく。
「2年のトップ、また角田かよー。あいつ、ほんと不動だな」
「ここ数日休んでたからトップはガリ勉の田代かと思ったけどな。
田代かわいそう。万年2位で泣いてるぜ」
あの後、角田先輩はちゃっかり実力テストを受けていた。
「すごいな。水田。今回もトップか」
「いやぁー、高森君、まぐれだよ。まぐれ」
一年のトップは予想どうり幼馴染の水田まり子だった。
才色兼備の彼女は、驕ることなく屈託のない笑顔で答える。
当然、普段の勉強態度がモノを言っているわけでまぐれであるはずはない。
3年は誰かと名前を覗き込めば大山智花先輩がベスト20入りしていた。
もともと英語以外はいい成績だったらしいから納得の範疇だ。
結果発表を見た後、角田先輩の姿を求めて。
2年がたむろしている辺りを眺めてみるが見当たらなかった。
おそらく先輩はいつも道理、図書室にでもいるのかもしれない。
学園の一角を彩る森の中にある図書館。
私立とは思えないぐらい蔵書が充実しており大きくて広い空間を有している。
創設当初から植えられた木々に彩られた、どっしりとした重厚感のあるレンガ造りの建物で教会を思わせるアーチ形の天井から吊り下げられた古式豊かな照明器具。
この一角だけが、真昼でもなんとなく薄暗く学園の中でも異質な存在を演出していた。
図書館につながるテラスに設置された丸テーブルと椅子。
そこで肩肘をついて手のひらで顎を支え、庭を眺めている先輩をみつけた。
彼は近づいてくる後輩に軽く手を振った。