第266話 アナザー 二人の高森 その74

文字数 880文字

「これが皆さんの生命エネルギー、オーラの色です。
 現在二人の高森君がいますが色はどうですか?」

「ほんとだ。ぜんぜん違う」
 智花が感嘆したように言った。

「分岐した時点で色が変わっている。それこそ色のグラデーションはたくさん有りますが、確実に個人を特定できれば帰って来れます」

「えーっ?厳しいよ。先生、オーラの色って色見本並みにあるって事だろ?
 説明聞いたら余計帰ってこれない気がする」

「そう、だから、高森君は角田君に抱きついた。
 帰ってくるための指針を明確にするために。
 五感以外の第六感で彼の気配を特定できる情報を得るために」

 センスがいいとしか言えない。

 生体内視。 
 彼は足りない情報を読み取ろうとして無意識のうちにそれを行った。
 末恐ろしい。高森要はそれを言葉ではなく感覚で悟ったのだ。

 彼の超能力を使うセンスは恐らく佐藤仁以上だろう。
 幽体の今、すべての能力が使えるようになる可能性が大きい。

 超能力は大きく分類する10に分かれる。
 透視 テレパシー 予知 念力 瞬間移動
 生体コピー 生体探索 生体内視 生体通信 生体エネルギー現象。


 高森 要の能力は 平行時空に移動する力だ。
 瞬間移動と非常に似通っているが全くの別物。
 能力そのものが変則的(イレギュラー)それに超能力という定義にふくまれていない。

 ところが彼はこの短時間にテレパシー、透視、生体内視、生体エネルギーの放出。
 四つの能力を体得してしまった。
 しかし本人に自覚がない。
 残り六つ。

 リアム・ローレン以上の能力者が誕生するのは時間の問題だ。
 だが、性急な能力の開花は精神に異常をきたすこともある。
 はたして彼の精神はその急激な変化をのりこえられるのか?

 ラボ時代、そういう仲間を何人も見てきた。
 暴走した能力(ちから)は普通の人間にとって脅威でしかない。

 そして、手に負えなくなった実験体は処分された。
 殺処分の命令をうけるのはいつも自分だった。
 嫌な記憶だ。
 菊留義之は眼を伏せた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み