第331話 アナザー 護の笑えない理由 その15

文字数 515文字

二人して二階にある朝食のバイキング会場に入ると、すぐトレイを持った響は大股でドリンクコーナーに向かった。上品なガラス瓶に入った牛乳を見つけると、側に設置してあったグラスを二つ手に取り中身を注いでから、パンとサラダ。
 スープと目玉焼きを取って来て、裕也が座っているテーブルまで帰ってきた。

「はい、これ、ちゃんと飲めよ」
 言いながら響は、裕也の目の前にグラスに注いだ牛乳をトンと置いた。
「……響、僕が牛乳嫌いなの知ってるよね」
 みそ汁に手をつけたばかりの裕也は不満げに言った。

「裕也、君の身長はいくつだ」
「えーと、162㎝くらいかな」
「高一でその身長は低い。中学生の身長だ。君は食べ物に好き嫌いがありすぎる」

 響の言葉はにべもない。

「でも、僕だって響の年齢になれば、170くらいにはなるでしょ」
「俺は牛乳は嫌いじゃなかった」

 身長の低さは牛乳嫌いのせいだと言わんばかりの彼の態度に裕也はため息をついた。
 日本食派の裕也の朝食はご飯とみそ汁、卵焼きに煮物、納豆と言った純和風。
 飲み物が牛乳なのはおかしいと異議を唱えたかったが響は聞く耳をもっていない。
 しかたなく彼が運んできた牛乳に口をつけた。
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