第186話 桜花恋歌 その44

文字数 642文字

次の日の放課後。
俺と佐藤先輩はカウンセリングルームで仲良く並んで机に突っ伏していた。
原因は睡眠不足。

「二人ともいい加減にしてください。
 ここは保健室じゃないんですよ。寝るなら、家に帰って寝て下さい」
菊留先生は渋い顔で俺と佐藤先輩に文句を言っている。

「俺ら寝不足なんですよ。……先生は平気なんですか?眠くないんですか。」

結局、角田先輩の救出に夜中の2時半までかかり家に帰って寝たのは三時過ぎ、朝7時には起こされたから、正味四時間も寝てない。先生も同じサイクルで寝ているはずだ。

「私は4時間寝れば十分です」
菊留先生は涼しい顔でしれっと答えた。
なんだってー!先生はエジソン並みの脳みそなのか。
人間の睡眠量は脳の疲労度で決まるらしいから、超うらやましい。

「せんせーは脳みそ使ってないって事ですか。俺は一日8時間寝ないとまともに動けません」
佐藤先輩がそう言うと菊留先生は「そうかもしれませんね」と言って笑って軽く受け流した。

流石(さすが)は超人クラブの顧問を務めるだけの事はある。
顏に余裕の笑みが浮かんでいる。

「先生って超能力なくても超人ですよね」
「そうだな。あっ、超人といえばもう一人」

「……角田先輩もですよ」

「あいつ、絶対ばけもんだ」
「……ですよね」

病院で点滴を受けていた角田先輩は、夜中に意識が戻ったとたん、即座に退院して
今日、普通に学校に登校してきた。
懇意にしている泉の病院だから出来る事で通常なら真夜中に退院なんかできるはずも
ないのだが。

噂をすれば影。
ガラッとカウンセリングルームの扉が開いた。
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