第222話 アナザー 二人の高森 その30
文字数 595文字
アレンは現場の状況に眼を疑った。
そして、自分がこの場につれてこられたわけを悟った。
わき腹から血を流し、足元に横たわって倒れている青年と膝をつき、そのそばにしゃがみ込んでいる同い年くらいの青年。
仁が大っぴらに超能力を使って瞬間移動した事を考えれば、二人ともおそらくは超人クラブのメンバーだろうと思われた。
「すみません。場所を変わって下さい」
しゃがみ込んでいた青年に声をかけると、彼は顏をあげ立ち上がって無言でその場を離れた。
肩から胸元、チェックのズボンに至るまで血で染まっている。
彼と入れ替わりにその場に座り込み、横たわる青年の手を取った。
明らかに白い。
顔色、皮膚の色が白くなり脈拍が微弱になってきている。
呼吸数が異常に多い。ショック症状が始まっている。
意識はなかった。
一瞥して受けた傷の酷い事がわかる。それだけの出血量だった。
「アレン、どうだ。治せそうか?」
仁の問いにアレンはかぶりを振った。
「どうして、君は傷を治すことはできるだろう?」
「外傷は治せる。でも内臓関係はやった事がない」
「……そうか」
「僕だけじゃ無理かもしれない。仁、先生を……義父さんを連れてきて下さい」
仁は驚いてアレンを見た。
この惨状を見て先生はなんと言うだろうか。
彼は言われた言葉に一瞬、躊躇したが「うん、わかった」と言ってその場からかき消すようにいなくなった。
そして、自分がこの場につれてこられたわけを悟った。
わき腹から血を流し、足元に横たわって倒れている青年と膝をつき、そのそばにしゃがみ込んでいる同い年くらいの青年。
仁が大っぴらに超能力を使って瞬間移動した事を考えれば、二人ともおそらくは超人クラブのメンバーだろうと思われた。
「すみません。場所を変わって下さい」
しゃがみ込んでいた青年に声をかけると、彼は顏をあげ立ち上がって無言でその場を離れた。
肩から胸元、チェックのズボンに至るまで血で染まっている。
彼と入れ替わりにその場に座り込み、横たわる青年の手を取った。
明らかに白い。
顔色、皮膚の色が白くなり脈拍が微弱になってきている。
呼吸数が異常に多い。ショック症状が始まっている。
意識はなかった。
一瞥して受けた傷の酷い事がわかる。それだけの出血量だった。
「アレン、どうだ。治せそうか?」
仁の問いにアレンはかぶりを振った。
「どうして、君は傷を治すことはできるだろう?」
「外傷は治せる。でも内臓関係はやった事がない」
「……そうか」
「僕だけじゃ無理かもしれない。仁、先生を……義父さんを連れてきて下さい」
仁は驚いてアレンを見た。
この惨状を見て先生はなんと言うだろうか。
彼は言われた言葉に一瞬、躊躇したが「うん、わかった」と言ってその場からかき消すようにいなくなった。