第238話 アナザー 二人の高森 その46

文字数 563文字

暫くして落ち着いたのか。
アナザーなオレは部屋にあったノートパソコンを立ち上げ、ネットにつなぐと、俺のブログとツイッターを検索して内容を読み始めた。

ぶつぶつぶつぶつ口の中で繰り返し繰り返し。
丁寧に時間をかけて読み込み会話を反芻している。

姉が夕飯が出来たと呼びにくるまで、その行動は続いていた。
食事の後も同じだった。風呂からあがっても日記を読み続けていた。
彼は俺が開成南に入学してからの5か月分の日記ををすべて読みきった。
俺になりきる事に没頭しているのだろうが、俺にしてみれば、
そんな事より学校で出された宿題の方をかたずけて欲しかった。
それから彼は自分の部屋を出て、姉の部屋のドアをノックした。

「どうぞ」
入室を許可する姉の声。
大学のレポートをパソコンで書いていたらしい姉は、パソコンから顔をあげて、椅子ごと振り返った。

「ねーちゃん、ちょっと聞きたい事があって」
俺になりすましたオレは実に淀みなく姉に話しかけた。
「聞きたい事?何々、恋愛相談?
 あんた、ガラスの十代だからいっちょ前に悩みができたのかな?」
「うん、そうだけど」

はにかむように笑うオレ。うわぁ、なんか俺っぽい。
「ねーちゃんにとって俺ってどんなイメージ?」

「うーん、そうねぇ……」
姉は小首をかしげて考えるそぶりをする。
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