第37話 菊留先生の憂鬱 その3

文字数 632文字

1960年代。
ソ連が軍事利用を目的とした超能力の研究を密かに行なっていたのは有名な事実だった。
そのラボにいた被験者、リアム・ローレンは15歳で、短い生涯を終えた。
リアムとしての人生を終えた後、すぐ菊留義之として生まれ変わった。

菊留義之(じぶん)は1990年生まれ。転生後も前世の記憶があった。

薬で無理やり超能力を引き出していた前世とは違っていた。
グローム教授の予言通り、あらゆる超能力がなんの苦も無く使いこなせるようになっていた。

現在、両方の中指、薬指に四つの指輪がはまっているが、すべてが超能力を抑え込む為のリミッターになっている。

転生した自分は超能力が使える事に最初は驚いていたが。もっとびっくりしたのはオカルト的(霊能力)な事象も体験する体質になった事だった。
つまるところ、この二つの能力は同義なのではないかと理解している。

自分が「超人クラブ」を作るはめになったのは自分の周りに異能力者が集まってくるためだ。
類は友を呼ぶのか、牛は牛連れ、馬は馬連れなのかはわからない。

1970年代80年代、やたらに騒がれたソ連、アメリカの超能力部隊の話は今も現存しているのだろうか。

軍事利用を目的とした超能力の研究が、今なお行われているとしたら、自分たちの存在は喉から手が出る程ほしい研究対象だろう。

いろんな懸念が彼の思考の中に渦巻いている。
超能力研究所の被験者だった彼はその懸念が現実にならないことを心のどこかで祈っていた。
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