第20話
文字数 1,332文字
解散する前に「お腹減った」という泉の提案を受け入れてファーストフード店に寄ることになった。レジにならんでそれぞれメニューを注文し番号札を貰って席に座る。
量が多いので店員ができ上ったものを運んできてくれた。
菊留先生は席に座るなり自分の手荷物の中から布にくるまれた数珠を取り出し、
「智花さん、はい、これ、ほとんど残っていませんが」
と言って、駅の構内でばらけた数珠の残りを大山先輩に差し出した。
「あちゃーほんとに残ってませんね。球は割れてるみたいだし。ちょっと、みんなのブレスも見せてくれる?」
言われて、全員が腕にはめたブレスを外して大山先輩に渡す。
「あっ、ひびが入ってる。これ角田君の?
佐藤君のも入ってるわ。まぁ、近い所にいたからしょうがないわね」
先輩はブレスの球をくるくる回しながら一つずつ丁寧に確認している。
「そういえば、智花さんは一番遠い所にいましたね」
「当然よ、君子危うきに近寄らずでしょう?」
「智花先輩、ずるい、般若心経、唱えなかったでしょう。泉は一生懸命唱えたのに」
「そういえば、俺に真言唱えろって言って終わったような」
「あははっ、だって、司令官は指令だけだしてればいいでしょう?」
あの場を仕切ったのはどうやら大山先輩であるらしかった。
「あの残留思念、消えたんですか」
「たぶんね、身代わりの数珠とブレスが3つダメになったから満足したんじゃないかな」
「満足?」
「うん、あと三人って言ったんだよね、加奈ちゃん」
「あっ、そうです」
「まっ、今後あそこで飛び込み自殺がなくなればOKじゃない?」
ふーん、そんな風に判断するのか、なるほどそれはそうと。
「俺、みんなに相談したいことがあって」
「相談?何かな?」
「俺の能力、平行世界に飛ぶ能力なんですよ」
「うん、先生がそう言ってたね」
「俺の能力、ほっとくといつ発動するかわかんないらしいです」
「……それって制御できてないってこと?」
「そうみたいです」
「うーん、こういう話はね」
大山先輩はちょっと考えてから佐藤先輩に声をかけた。
「佐藤君、こっち来て相談にのってあげたら?
どっちかっていうとエスパー系の話だよね、これって」
話を振られた佐藤先輩は眼鏡を中指で直してこっちをみる。
そして右手を軽く上げてすっと右に払った。手の動きと一緒にジュースのカップが一つ浮き上がり宙を移動しながらゆっくりとこちらにやってきた。
先輩が手を下すとストン下に落ちテーブルの上に載った。魔法でもみているようだった。
話に聞いていたけど実際の力を目の当たりすると驚愕するほかはない。
先輩自身は、席を立ってこっちのテーブルに移動してきた。
「相談もなにも、こういう能力は自分の意識下において制御するしかない。無意識に使ってるから暴走する羽目になる」
「どうやって意識下に置くんですか?」
「俺も苦労した口だけど」
先程のジュースを口に運びながら佐藤先輩は断言する。
「修行して、めちゃくちゃ使える様にするか、封印して使えなくするかの二択」
「そうなんですか」
「でも、高森の場合、使える様にするにはどんな世界に飛ばされるかわからないリスクがあるし封印するにしてもなんか怖いものがあるしな」
「……」
「今の所は対処法はないんじゃないのかな」
先輩は絶望的な事を口にしてくれた。
量が多いので店員ができ上ったものを運んできてくれた。
菊留先生は席に座るなり自分の手荷物の中から布にくるまれた数珠を取り出し、
「智花さん、はい、これ、ほとんど残っていませんが」
と言って、駅の構内でばらけた数珠の残りを大山先輩に差し出した。
「あちゃーほんとに残ってませんね。球は割れてるみたいだし。ちょっと、みんなのブレスも見せてくれる?」
言われて、全員が腕にはめたブレスを外して大山先輩に渡す。
「あっ、ひびが入ってる。これ角田君の?
佐藤君のも入ってるわ。まぁ、近い所にいたからしょうがないわね」
先輩はブレスの球をくるくる回しながら一つずつ丁寧に確認している。
「そういえば、智花さんは一番遠い所にいましたね」
「当然よ、君子危うきに近寄らずでしょう?」
「智花先輩、ずるい、般若心経、唱えなかったでしょう。泉は一生懸命唱えたのに」
「そういえば、俺に真言唱えろって言って終わったような」
「あははっ、だって、司令官は指令だけだしてればいいでしょう?」
あの場を仕切ったのはどうやら大山先輩であるらしかった。
「あの残留思念、消えたんですか」
「たぶんね、身代わりの数珠とブレスが3つダメになったから満足したんじゃないかな」
「満足?」
「うん、あと三人って言ったんだよね、加奈ちゃん」
「あっ、そうです」
「まっ、今後あそこで飛び込み自殺がなくなればOKじゃない?」
ふーん、そんな風に判断するのか、なるほどそれはそうと。
「俺、みんなに相談したいことがあって」
「相談?何かな?」
「俺の能力、平行世界に飛ぶ能力なんですよ」
「うん、先生がそう言ってたね」
「俺の能力、ほっとくといつ発動するかわかんないらしいです」
「……それって制御できてないってこと?」
「そうみたいです」
「うーん、こういう話はね」
大山先輩はちょっと考えてから佐藤先輩に声をかけた。
「佐藤君、こっち来て相談にのってあげたら?
どっちかっていうとエスパー系の話だよね、これって」
話を振られた佐藤先輩は眼鏡を中指で直してこっちをみる。
そして右手を軽く上げてすっと右に払った。手の動きと一緒にジュースのカップが一つ浮き上がり宙を移動しながらゆっくりとこちらにやってきた。
先輩が手を下すとストン下に落ちテーブルの上に載った。魔法でもみているようだった。
話に聞いていたけど実際の力を目の当たりすると驚愕するほかはない。
先輩自身は、席を立ってこっちのテーブルに移動してきた。
「相談もなにも、こういう能力は自分の意識下において制御するしかない。無意識に使ってるから暴走する羽目になる」
「どうやって意識下に置くんですか?」
「俺も苦労した口だけど」
先程のジュースを口に運びながら佐藤先輩は断言する。
「修行して、めちゃくちゃ使える様にするか、封印して使えなくするかの二択」
「そうなんですか」
「でも、高森の場合、使える様にするにはどんな世界に飛ばされるかわからないリスクがあるし封印するにしてもなんか怖いものがあるしな」
「……」
「今の所は対処法はないんじゃないのかな」
先輩は絶望的な事を口にしてくれた。