第231話 アナザー 二人の高森 その39

文字数 545文字

 美容院からでたオレは自宅マンションの地下駐車場に送られ、「家からでるな」という厳命をうけて二人の先輩から解放される事になった。

 どこに行こうとオレの勝手だとオレは思うわけだが、とりあえず頷いた。
「明日は学校だから僕が迎えに来る。出来限りフォローするが期待しないでくれ」

 オレの真ん前に立ちながら視線を限りなくオレから外したまま、限りなく沈んだ声で角田護は言った。

 っとに角田護(こいつ)の言い方、いちいち引っかかる。
 人の顏をまともに見ようとはしない。
 オレの世話をするのは不本意だと言わんばかりの彼の態度。

 彼はくるりと背を向け落胆を隠しきれない様子で肩越しにちらりとオレを見た。
 角田護にとってオレとこの世界の高森要は似ても似つかない生き物らしい。
 あからさまな彼の態度に嫌気がさす。

「ふん、ばっかじゃねーの、学校ぐらい一人でいけるわ。ガキ扱いすんな」
 オレは彼に負けない不貞腐れた態度で言ってみた。
 どうせ、気に入られてないのだから、ご機嫌をとる必要もないだろう。

「開成南の場所知らないんだろ」
 ムキになるこいつ。

「そんぐらい知っとるわ」
 知らなくても知ってると言い張るオレ。

「人が親切で言ってるのに」
 呆れたように言うこいつ。
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