第5話
文字数 1,452文字
開校記念日で珍しく平日が休みになった俺は、余所行きジャージ上下を着こんで買ったばかりの新書を携え近所のファミレスにむかった。
中でドリンクバーを頼み二時間粘って本を読んでいると件の教師が入ってきて懐かしくて声をかけたら先ほどのセリフ。
俺はしばらくの間、茫然自失になった。
俺の記憶はなんなんだ?
誰かにいじられたのか。俺自身の脳内書き換え?
ただ単に記憶違い?
「たーかもり、高森君ってば、どうしちゃたの?さっきから呼んでるのに返事しないなんて」
「えっ?え?俺を呼んでた?」
「うん、さっきからずぅーっと」
時計を見ると菊留氏と会ってから、ゆうに30分ほど経過している。
この間に店に入ってきた同じ学校の女生徒が俺がいるのを見て声をかけてきたらしい。
正面に座りほおずえをついて覗き込むお下げの少女に気が付かないほど相当にぼんやりしていた。何度目かの呼びかけで俺は声の主をようやく理解した。
「ああっ、己は水田まりこ!」
「フルネームで呼ぶなというに!水田さんとよびなされ!!水田さんと」
ああっ、そうだった。こいつはフルネームで近所の悪がきにいじられてたんだっけ?
「はなず」っていう苗字だったらぴったりだったのにとかなんとか……。
本人はそんな名字の人とは結婚しないと公言してたっけ。
でも、そんな名字のやついるのか?素直に疑問がわく。
水田まりこと俺はこの店の常連だ。
向こうは勉強のため、俺は読書の為にこの店を使っていた。
でも、こうゆうのはお店の人には、はなはだ迷惑なんだろうと理解している。
「高森君なんか変だよ。顔が…あっ、もとからか」
軽口をたたく水田に冗談で返す余裕は俺にはなかった。
「お前こそ変だよ。休みの日まで制服とか……それで?なんか用」
超絶不機嫌な顔で聞き返す、。
「べーつーに、読書中おじゃましたわね。
すごくうかない顔してたから、気になって聞いてみただけ。
ああ、私、あっちで勉強するから」
水田もまずいことを言ったと思ったらしく慌てたように隣のボックスを指さして席をはなれようとする。俺は相当に冴えない顔をしていたらしい。
当たり前と言えば当たり前。
俺が持っている記憶が事実とは違うという指摘を受け尚且つ、目の前に証拠を提示されたのだ。ブルーになるのも仕方なかった。
目を落としたテーブルの上に数冊の本とグラス。
菊留氏のおいていったコーヒーカップと名刺がある。
俺はその名刺をじっと見つめて意を決して水田に言った。
「……水田ぁー、お前さぁ、覚えてないかな」
「ん、何がぁ?」振り返って答える水田
「……きくとめっていう教師いたよな?」
「えっ?きくとめ?そんな教師いたっけ?」
「国語の、あの、ほらっ授業中ずうーっと朗読してた先生」
「……朗読?声に出して読み上げることだよね。
……本を朗読する先生?そんな先生いなかったよ。
国語の先生は逢坂先生でしょ、高森君、頭だいじょうぶ?」
あーっ、やっぱりか……。
俺はテーブルに突っ伏した。ショックだった。
自分の記憶を誰かに肯定してもらいたかった。
記憶が正しいことを証明して欲しかった。
それなのに……同級生にまで否定されるなんて。
ちっくしょう!
俺の記憶は妄想だとでも言うのか?
「……頭大丈夫なんていわないでくれ、今一番俺自身が、俺の頭の心配してる……」
いらだち紛れにテーブルを叩き大きなため息をついた。
もう、なんだか泣きそうだった。
中でドリンクバーを頼み二時間粘って本を読んでいると件の教師が入ってきて懐かしくて声をかけたら先ほどのセリフ。
俺はしばらくの間、茫然自失になった。
俺の記憶はなんなんだ?
誰かにいじられたのか。俺自身の脳内書き換え?
ただ単に記憶違い?
「たーかもり、高森君ってば、どうしちゃたの?さっきから呼んでるのに返事しないなんて」
「えっ?え?俺を呼んでた?」
「うん、さっきからずぅーっと」
時計を見ると菊留氏と会ってから、ゆうに30分ほど経過している。
この間に店に入ってきた同じ学校の女生徒が俺がいるのを見て声をかけてきたらしい。
正面に座りほおずえをついて覗き込むお下げの少女に気が付かないほど相当にぼんやりしていた。何度目かの呼びかけで俺は声の主をようやく理解した。
「ああっ、己は水田まりこ!」
「フルネームで呼ぶなというに!水田さんとよびなされ!!水田さんと」
ああっ、そうだった。こいつはフルネームで近所の悪がきにいじられてたんだっけ?
「はなず」っていう苗字だったらぴったりだったのにとかなんとか……。
本人はそんな名字の人とは結婚しないと公言してたっけ。
でも、そんな名字のやついるのか?素直に疑問がわく。
水田まりこと俺はこの店の常連だ。
向こうは勉強のため、俺は読書の為にこの店を使っていた。
でも、こうゆうのはお店の人には、はなはだ迷惑なんだろうと理解している。
「高森君なんか変だよ。顔が…あっ、もとからか」
軽口をたたく水田に冗談で返す余裕は俺にはなかった。
「お前こそ変だよ。休みの日まで制服とか……それで?なんか用」
超絶不機嫌な顔で聞き返す、。
「べーつーに、読書中おじゃましたわね。
すごくうかない顔してたから、気になって聞いてみただけ。
ああ、私、あっちで勉強するから」
水田もまずいことを言ったと思ったらしく慌てたように隣のボックスを指さして席をはなれようとする。俺は相当に冴えない顔をしていたらしい。
当たり前と言えば当たり前。
俺が持っている記憶が事実とは違うという指摘を受け尚且つ、目の前に証拠を提示されたのだ。ブルーになるのも仕方なかった。
目を落としたテーブルの上に数冊の本とグラス。
菊留氏のおいていったコーヒーカップと名刺がある。
俺はその名刺をじっと見つめて意を決して水田に言った。
「……水田ぁー、お前さぁ、覚えてないかな」
「ん、何がぁ?」振り返って答える水田
「……きくとめっていう教師いたよな?」
「えっ?きくとめ?そんな教師いたっけ?」
「国語の、あの、ほらっ授業中ずうーっと朗読してた先生」
「……朗読?声に出して読み上げることだよね。
……本を朗読する先生?そんな先生いなかったよ。
国語の先生は逢坂先生でしょ、高森君、頭だいじょうぶ?」
あーっ、やっぱりか……。
俺はテーブルに突っ伏した。ショックだった。
自分の記憶を誰かに肯定してもらいたかった。
記憶が正しいことを証明して欲しかった。
それなのに……同級生にまで否定されるなんて。
ちっくしょう!
俺の記憶は妄想だとでも言うのか?
「……頭大丈夫なんていわないでくれ、今一番俺自身が、俺の頭の心配してる……」
いらだち紛れにテーブルを叩き大きなため息をついた。
もう、なんだか泣きそうだった。