第187話 桜花恋歌 その45

文字数 670文字

「あっ、高森、ここにいたのか」
「……。角田先輩元気ですよね。俺、眠いです。先輩は眠くないんですか?」

「うん、平気、僕は3時間寝れば大丈夫だよ」
はぁ?先輩はナポレオンなみの脳みそなのか。
俺と佐藤先輩は顏を見合わせた。
やっぱりね。と言わんばかりに佐藤先輩は肩をすくめて見せる。

「俺、眠いです。もうちょっと動きたくないんですけど」
とりあえず予防線を張ってみる。
とはいえ、実力テストまでは部活は休みだから。
連行される心配はないと安心していたら『ぐいっ』と腕を引っ張られた。

「ちょっと、ちょっと、先輩、今日は部活ありませんよ」
「うん、知ってるよ。高森、お前、入学時の実力テストどのくらい?」
「えっ、……なっ、なんで、そんな事聞くんですか」
「テスト勉強付き合おうを思って」
「えっ、いいですよ。先輩は2年なんだから、1年のを見たってなんのメリットもないですよ」

「僕の側近を務めるなら、それなりに色々できないと困る」
「はあっ?そっきん?」
「そう、側近」
「側近って、あの」
「僕は将来、角田コンツェルンのホテル部門を引き継ぐことになってる」
えっ、つまり、その部門の社長?
側近てことはつまり、角田先輩の秘書か何か?

「ハイ、おめでとう。高森、就職口見つかってよかったな。
 角田コンツェルンと言えば大手だ。くいっぱぐれないぞ」

隣で聞いていた佐藤先輩がうれしそうに茶化す。

「えっ、えっ、あの」
慌てて言う。
「俺、先輩の側近になるつもりありませんけど」
「たかもり。木霊の前で言ったよね」

……えっ?
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