第65話 先生(リサーチャーフェイバリット)の実力 その2

文字数 843文字

「てめぇ、アレン、一体どういうつもりだ」
壁に押し付けられたまま男は先生を睨みつけた。
男はアレンと菊留先生を明らかに間違えている。
「……私はアレンではありませんよ」
冴え冴えとした氷のような眼差しで先生は答える。

「誠道会……ボナンノ一家……恐喝、麻薬密売、殺人、ギャンブル……」

「な……なんで、わかる」
「組織から知らされてないのですか。
 貴方たちが相手にしているのは超能力者だと」
「超能力者だと?」
相手は驚愕の表情で菊留義之を見た。
「だから、貴方の頭の中はすべて手に取るようにわかるのです」

The Bonanno Crime Family(ボナンノ一家)
五大ファミリーの一つで構成メンバーは
1000人以上いるとされるニューヨークマフィアだ。

アレンの背後にいる組織が日本の暴力団とニューヨークマフィアだとわかると
軽蔑したように一人ごちる。
「予想外でしたね。ずいぶんと落ちたものだ」
彼は、背後にいる組織がロシアやアメリカのような一国が関わっていると思っていた。
だから、暗躍しているのはKGBや、CIAだと予想していたのだかそれを見事に裏切られた。

菊留先生は、読み取れるだけの情報を読み取る
と男の首筋に一撃を加え気絶させその場に捨て置いた。
国家組織でないのなら、正攻法はありえない。

彼らの狙いは佐藤仁ただ、一人。
彼を組織の手ごまにして、マフィア抗争の要に使い一気にニューヨークを牛耳るつもりらしい。
アレンは彼に近づくためのただの手段に過ぎない。
埠頭でのバトルはおそらくはフェイク。
佐藤仁を拉致るための罠に違いなかった。
もう一刻の猶予もない。

パトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
殴り合いの音に気が付いて近隣の住人が通報したようだ。
パトカーはアパートの敷地に泊まり、中から警官二人が降りてきた。
警官が暴力団の構成員から事情聴いている間にそこから、一人分の影が無くなった。
その場にいる全員がこの事実に気が付かなかった。
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