第1話
文字数 1,389文字
私立開成南高校には謎のクラブが存在する。
その噂を聞いたのは学校に入学してまもなくだった。
その名も「超人クラブ」会期は不定期、メンバーも活動内容もどこに集まって、何をどう行動しているのかもわからない。存在そのものが構成員により秘匿される秘密結社のようなクラブらしい。
その事を担任に尋ねたら、軽く笑い飛ばされた。
「そんなクラブは存在しないね。学生の間に伝わる都市伝説みたいなものじゃないのかい?教師仲間でも聞いたことがないけどね」
「そうですか」
落胆する俺に追い打ちをかけるかのように担任は言う。
「それより、高森、どこのクラブに所属するか決めたのか?希望が出てないのはお前だけなんだがな」
入学して3週間、新一年生は一か月以内に各クラブ活動を見学して入部届を提出する。
それがこの学校の伝統と方針だった。
この学校に所属する限り、帰宅部など一人として許されないのだ。
「実はまだです。提出、三日後でいいですか?まだ、決めかねてるんで」
担任に許しを貰って一礼して職員室を出る。手元にはクラブ活動一覧がある。
俺、開成南高校1年3組 高森要、中肉、170センチ。上背はあるほうだと自覚している。
俳優張りの美貌を持っているわけじゃないから女子から騒がれるわけでない。
まあっ、学ラン着たどこにでもいるごくごく普通の高校生だ。
運動はそこそこ出来る方だと思いたいが、いかんせん中学から部活をやってきた連中にかなうハズもないから運動部は当然、パス。
残り文化部だが残念なことに琴線に触れる部活は一つとしてなかった。
各学年8クラス320人づついて学校の事務方、教師を含めると人を千人超す大所帯。
部活の数も半端ないから、入りたくなるクラブはきっとあるとタカをくくっていたのだが結局のところ未だ見つけることができない。だから、いざ担任に聞かれると返答に窮してしまった。
唯一興味を持ったクラブが「あるのかないのか解らん謎のクラブ」だったのだから先ほどのようなやり取りになってしまったのだ。中学では帰宅部だったが、それは許されない。
「なら……どうする……」
手の中の冊子をぱらぱらとめくりため息をつく。三年間続けるなら楽しい方がいいにちがいない。教室に戻って帰り支度をしていると女生徒が声をかけてきた。
幼馴染の水田まりこだ。
身長は160センチくらいか?中肉中背、セーラー服におさげ髪の眼鏡女子、
一週間前にクラス委員を拝命した才女だ。
「ねぇ、ねぇ、たかもり、もう、どこのクラブに入るか決めた?」
「いや、まだ」
「私ね、家庭科クラブに入ることにしたの。料理に裁縫、編み物なんでもござれなんよ。
うふふ、頑張って女子力磨くのさ」
「それ以上磨いてどうすんだ。お前、料理も裁縫も得意だろ」
その上、某塾の全国模試でトップテンに入る頭の良さ、非の打ち所がない。
というのはこういう人間を言うのだろう。まったくもってうらやましい限りだ。
「高森君もそうしたら?今時、料理できない男子はもてないわよ~」
「冗談じゃない。まわり女子ばっかだろ、そんなクラブにはいれるか」
「じゃあ、角田先輩のいる書道部は?部活紹介の書道パフォーマンスカッコよかったよね~」
水田はうっとりとした表情でそう言った。
わかる。わかるよ。
俺と違ってかっこいいよ、先輩は。
その噂を聞いたのは学校に入学してまもなくだった。
その名も「超人クラブ」会期は不定期、メンバーも活動内容もどこに集まって、何をどう行動しているのかもわからない。存在そのものが構成員により秘匿される秘密結社のようなクラブらしい。
その事を担任に尋ねたら、軽く笑い飛ばされた。
「そんなクラブは存在しないね。学生の間に伝わる都市伝説みたいなものじゃないのかい?教師仲間でも聞いたことがないけどね」
「そうですか」
落胆する俺に追い打ちをかけるかのように担任は言う。
「それより、高森、どこのクラブに所属するか決めたのか?希望が出てないのはお前だけなんだがな」
入学して3週間、新一年生は一か月以内に各クラブ活動を見学して入部届を提出する。
それがこの学校の伝統と方針だった。
この学校に所属する限り、帰宅部など一人として許されないのだ。
「実はまだです。提出、三日後でいいですか?まだ、決めかねてるんで」
担任に許しを貰って一礼して職員室を出る。手元にはクラブ活動一覧がある。
俺、開成南高校1年3組 高森要、中肉、170センチ。上背はあるほうだと自覚している。
俳優張りの美貌を持っているわけじゃないから女子から騒がれるわけでない。
まあっ、学ラン着たどこにでもいるごくごく普通の高校生だ。
運動はそこそこ出来る方だと思いたいが、いかんせん中学から部活をやってきた連中にかなうハズもないから運動部は当然、パス。
残り文化部だが残念なことに琴線に触れる部活は一つとしてなかった。
各学年8クラス320人づついて学校の事務方、教師を含めると人を千人超す大所帯。
部活の数も半端ないから、入りたくなるクラブはきっとあるとタカをくくっていたのだが結局のところ未だ見つけることができない。だから、いざ担任に聞かれると返答に窮してしまった。
唯一興味を持ったクラブが「あるのかないのか解らん謎のクラブ」だったのだから先ほどのようなやり取りになってしまったのだ。中学では帰宅部だったが、それは許されない。
「なら……どうする……」
手の中の冊子をぱらぱらとめくりため息をつく。三年間続けるなら楽しい方がいいにちがいない。教室に戻って帰り支度をしていると女生徒が声をかけてきた。
幼馴染の水田まりこだ。
身長は160センチくらいか?中肉中背、セーラー服におさげ髪の眼鏡女子、
一週間前にクラス委員を拝命した才女だ。
「ねぇ、ねぇ、たかもり、もう、どこのクラブに入るか決めた?」
「いや、まだ」
「私ね、家庭科クラブに入ることにしたの。料理に裁縫、編み物なんでもござれなんよ。
うふふ、頑張って女子力磨くのさ」
「それ以上磨いてどうすんだ。お前、料理も裁縫も得意だろ」
その上、某塾の全国模試でトップテンに入る頭の良さ、非の打ち所がない。
というのはこういう人間を言うのだろう。まったくもってうらやましい限りだ。
「高森君もそうしたら?今時、料理できない男子はもてないわよ~」
「冗談じゃない。まわり女子ばっかだろ、そんなクラブにはいれるか」
「じゃあ、角田先輩のいる書道部は?部活紹介の書道パフォーマンスカッコよかったよね~」
水田はうっとりとした表情でそう言った。
わかる。わかるよ。
俺と違ってかっこいいよ、先輩は。