第271話 アナザー 二人の高森 その79
文字数 702文字
ノックの音がした。
病室特有の引き戸なのに、律儀にノックをしてはいってきた3人の生徒は、学校帰りなのか、制服を着てスクールバッグを肩からさげている。
佐藤先輩と角田先輩、もう一人は長身の外人だった。
咄嗟に狸寝入りを決め込み、薄目を開けて3人の様子を観察した。
指通りのよさそうな金の髪と菫色 の瞳を持つ彼は一体何者なのだろう。
凄く気になる。
俺は眼をつむったまま、枕元に立っている3人の会話を聞いていた。
「アレンと一緒になるとは思わなかったな。家反対方向だろ」
「ええ、でも、僕も彼に関わったので、どうしても気になって様子を見に来たんです」
佐藤先輩の言葉に流暢 すぎる日本語で、気さくに答える青年の名前はアレンと言うらしい。
「でも、もう大丈夫そうですね。呼吸が安定してるし」
「……そうだな。朝見た時よりはるかに安定はしてる」
佐藤先輩は含みのある言い方した。
意識が戻った事を察しているのか。
俺は完璧に起きるタイミングを失った。
「僕は安心したので帰ります。喫茶のバイトに行かないと」
「マジメだな。先生、バイトしなくていいって言ってただろ、読みたい本があるなら買ってもらえよ」
「ええ、でも居候の身ですから」
アレンは読書が好きなのか、本の購入費をバイト代で賄っているらしい。
「じゃぁ」と言って片手をあげアレンは部屋から出て行った。
「居候って言っても養子なのになぁ。アレンは結構気にしてるんだなぁ」
感慨ぶかげに佐藤先輩は呟いたが角田先輩との間にあとの会話が続かない。
しばし、部屋の中に気まずい空気が流れた。
病室特有の引き戸なのに、律儀にノックをしてはいってきた3人の生徒は、学校帰りなのか、制服を着てスクールバッグを肩からさげている。
佐藤先輩と角田先輩、もう一人は長身の外人だった。
咄嗟に狸寝入りを決め込み、薄目を開けて3人の様子を観察した。
指通りのよさそうな金の髪と
凄く気になる。
俺は眼をつむったまま、枕元に立っている3人の会話を聞いていた。
「アレンと一緒になるとは思わなかったな。家反対方向だろ」
「ええ、でも、僕も彼に関わったので、どうしても気になって様子を見に来たんです」
佐藤先輩の言葉に
「でも、もう大丈夫そうですね。呼吸が安定してるし」
「……そうだな。朝見た時よりはるかに安定はしてる」
佐藤先輩は含みのある言い方した。
意識が戻った事を察しているのか。
俺は完璧に起きるタイミングを失った。
「僕は安心したので帰ります。喫茶のバイトに行かないと」
「マジメだな。先生、バイトしなくていいって言ってただろ、読みたい本があるなら買ってもらえよ」
「ええ、でも居候の身ですから」
アレンは読書が好きなのか、本の購入費をバイト代で賄っているらしい。
「じゃぁ」と言って片手をあげアレンは部屋から出て行った。
「居候って言っても養子なのになぁ。アレンは結構気にしてるんだなぁ」
感慨ぶかげに佐藤先輩は呟いたが角田先輩との間にあとの会話が続かない。
しばし、部屋の中に気まずい空気が流れた。