第216話 アナザー 二人の高森 その24

文字数 614文字

ややあって
「それで、義之はどういう事が聞きたいんだ」
仏頂面のままで正人が(たず)ねてきた。

「『竜穴の力』を使うときの注意点についてです」
「……注意点?」
「何を注意したらいいんでしょうか」
「きさまっ、何、たくらんでいる」
訝し気な眼差しで正人は義之を見た。

「企むだなんて人聞きの悪い。最初にいいましたよね。厄介ごとにまきこまれたと」
義之は剣呑な空気を跳ね返し涼し気に答えた。

「天地神明にかけて誓え。妙な考えは持っていないと」
疑わしいと言わんばかりの正人の顏。

クスリと笑って言った。
「一ノ谷君、あなたは私が国家転覆でも考えてると思っているんですか?」

「だって今、竜穴の力を使うとか抜かしたじゃないか。
 竜穴はパワースポットだ。悪用すれば大変はことになる」
正人は深刻ぶって答えた。

「でしょうね。天地神明に誓って、悪用はしません。これでいいですか?」
わざとらしく胸の前で十字をきってみせる。

「日本人ならちゃんと天照大御神(アマテラスオオミカミ)に誓え」
「はあーっ、そういう所、学生時代から全く変わらないんですね」

一呼吸、間をおいて義之は尋ねた。
「それで、注意点はなんですか?」
「……どういう使い方をするかにもよるがストッパーが必要かな?」

「ストッパーですか」
「影響をうけすぎないように抑える。必要になるのは多分これだと思う」
「多分ですか……随分いいかげんですね」
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