その25

文字数 751文字

たしかに僕が その立場だったら、すぐさま何かやらかした人というふうに見ると思う。

ちょっと緊張して
「け、警察の人が4人・・・ですか・・・。」
と、つい噛んでしまった。

でも、二組の警察の人間もそれぞれどことなく緊張しているのがわかる。

一瞬で気まずくなりながらも、僕は不謹慎ながらも、心の何処かで
(もしかすると、会議全部サボれるかも。)
と一瞬笑いがこみ上げそうで、急いで口元を隠す。

どんな理由で来ているか分からないので、ここで笑うのは流石に変な疑いを持たれかねない。

そして、あることに気づく。

遠巻きその他大勢の人の視線が思っている以上に多くて、そして痛い。

さっきまでのちょっとうれしかった気持ちが萎えていく。

そして、一気にこの場にいるのが耐え難くなってきた。

ここに降りてくるまでの想定は、すぐそこにある4人がけの簡易応接セットに座ってもらって、あくまで簡単な打ち合わせしてますよという感じで終わらせる予定だった。

しかし、降りてきてみれば想定外の2組別の警察の人間が、しかも同時にやってくるというもの。

困惑というのは電波していくので、なんだろうという事でいつしか注目されてしまっていたようだった。

この視線が痛すぎて萎えるので、すぐ終わりますよと言われたのだが、僕から提案して近所のオープンカフェへと向かうことにした。

僕が先導で、4人を引き連れてあるくという感じで、遠目からならこのビルの関係者が5人で仲良くティータイムとかに見えるのかもしれないが、内情は全く違っている。

僕の見えないところで、二組の警察の人たちが状況確認や打ち合わせをしていたらしい。

カフェに着き、後ろを振り返ると三井が
「中に入らず、あちらでも構いませんか?」と言い出した。

(え、外?だって、今日暑いけど・・・)
そう思うとますますげんなりした。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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