ACT30

文字数 445文字

「はい、浅霧。」
電話ですから失礼、という視線を班長に送りながら、その部屋を出た。

実は、電話ではなくメールだったが、面倒そうなのでそれを言い訳にした。

メールは御幸で、デートのお誘いだった。

そのまま、署をでて御幸の事務所まで行けば近いのだが、美味しいコーヒーが飲みたくなったので、「とおり雨」で待ち合わせした。

店は、一通りの混雑の時間が過ぎ、空いていた。

高橋の視界から唯一外れる席に座る。

高橋は、僕の姿を見ると、注文も聞かずにコーヒーを持ってきた。

「もう一人来るから、メニューくれる?」
「おう、珍しい。結城くんじゃないんだ。」
名前を覚えているらしい。あいつはここに来ると、いつもアイスコーヒーだ。

一口飲んだタイミングで、御幸が来た。
「いらっしゃいませ。」
高橋が、店主ヅラして挨拶をしている。

この二人は、お互いに関わっていることは知らないはずだが、御幸の方はもしかすると言わなくても分かっているかもしれない。

メニューと数分にらめっこして、メロンソーダを注文した。

酒も飲むが、甘いものも好きなのだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み