Discloseー19

文字数 495文字

また話題を変えた。
ヒートアップしだしていた江尻はまた簡単に踊らされる。

別になんの合図でもないが、こういうことをわざとする。
相手が勝手に勘ぐるように。

仕方がないから、結城は乗ったふりをする。
「HIROBAです。」

「そうそう、HIROBA。あそこ、正直どうなんです?使い勝手、いいんですか?」

江尻はまた左の方を向いて、しばらく答えなかった。

そっちの方には今の所誰も立っていない。

こういうときの根気の強さは浅霧多分一番だ。
おもちゃを前にして品定めしている猫のようだと思う。

気になるとか使ってみたいとか、値段がどうとかそんな話に根負けしたのか、
「会社でやっても、集中できない性分でして・・・。」
とだけ答えた。

「そうですか?私が見た限り、あなたの部屋の方が落ち着いて仕事ができそうですよ。忙しくてあなたの部屋に入れませんでしたが、写真でみた限り仕事とかするのにもってこいの環境でしたよ。」

「そりゃ、どうも。」
と言って、軽く頭を下げた。

「で、結局の所どうしてあそこに行かなければならないんです?まあ、あそこに行かなければ彼らと会えませんですからね。阪本と、本間と。
そして村田さんでしたっけ、あの女性。」
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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