ACT58

文字数 449文字

「あの、先程の方が何か…。」
不安そうな顔をしている。

「先程も申しましたように、まだ事件性もすてきれないもので、見舞いに人が来たと聞きましたので、念の為です。」
と、またどうとってもいいような事を言った。

後で利用するので、ここに置いといてほしいと頼み込み「森宮」と名乗った男が持ってきた花はとりあえず置いてもらった。

不安解消にはならないかもしれないが、詳細は優しく遠回りに御幸たちがしてくれるだろう。

通路に出ると、看護師がこちらをチラッと見て去っていった。

時計を見る。

外はもう、少し暗くなり始めていた。

班長が説得しても、今日は動けないだろう。
三井に包装紙の件を頼んで、署に戻らせた。

今はまだ役に立たない物証だとしても、死んだはずの「森宮」と名乗るメガネをかけた人物が見舞いに来たのだ。

いずれ、関係者から指紋を正式にとった時にこの男が誰か判別する。
やつは、すぐ花を活け直して処分すると考えただろうが、手土産を持ってきたことを後悔しているかもしれない。

結城から
「江尻の会社に着きました。」
と連絡が来ていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み