ACT95

文字数 593文字

病院からの報告後、少し間を置いて病院から江尻を追っていたスッタッフから、連絡が入った。

車に付いているステッカーから、カーシェアのものだとわかるその車は、江尻の住んでいる地域からは程遠い駐車場に入ったらしい。

住所を聞いても、徒歩圏内でもなさそうだった。

カーシェアをやっているというノボリがあるそうだから、そこがその車の返却場所で間違いがないようだった。

返却が終わると素早く降りて、駐車場をあとにする。
暗闇に溶け込むような服装だ。

後ろから、そっと一人がついて尾行を始めたときのことだった。

数メートルほど行ったところで、停車している車のドアが江尻が近づくやいなや急に開いたのだ。

それは、タクシーだった。

流しではなかった。

予約だろうか・・ランプも付いていないようだったと後で御幸に報告している。

江尻はなんの躊躇もせずに乗り込み、すぐさま走り出して行ってしまった。

焦ったのは追尾者だ。

住宅街であまり車が通らない、幹線道路から少し入った住宅街。
タクシーどころか、その時間帯普通の車もあまり通っていない。

遠くに配達のトラックが通ったくらいで、自転車の姿もあまり見かけない。

一応車で待機していたもうひとりのスタッフに連絡を入れたものの、一方通行の多い不慣れな道ですぐさま追いかけるのも難しく、結局見失った。

仕方がないので、車の中で御幸に指示を仰ぐために、追尾していたものも来る前と戻った。

その時である。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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