その10

文字数 593文字

なので 、降りてから理由立てする羽目になった。

考えればここは定期の範囲だから、途中下車しても電車代が別途かかるわけじゃない。

しかも、ここなら駅と一体化したモールがあって色んな売場が混在しているから、こんな派手じゃない家に帰るまでの入れ物を手に入れられるのではないかと言う思惑も見えてきた。

服は・・・
どうしようか。給料日前に、これ以上出費を増やしたくない。

このまま、一駅くらい歩いて、わざと多少濡れれば、汚れと独特なん匂いも取れていいかもしれない。

どうせ、一駅間1kmくらいだから、歩いても10分くらいだ。

そうだ、そうしよう。
帰って袋に纏めて、週末の休みにクリーニングに出そう。

そう思いながら改札に向かおうとすると、
「あの、本当にすみませんでした。」
と、後ろから声を掛けられた。

さっき、僕に飲み物をぶちまけた女の人がそこに立っていた。

僕は、全く関係ないあの電車の中で、きっとまだ掃除をしている人が居るだろうことは、その瞬間頭の中から消えたてしまっていた。

冷静だったら、きっと叱ったり詰(なじ)ったりしていたかもしれない。

でも、その時の僕は立て続けに思いも寄らない事が起きてしまい、僕の中の普通からはみ出たところで話が進んでいる事で、別の世界に居るような感覚に陥っていた。

彼女の
「本当にすみませんでした。」
という、一言で少しずつ今起きた現実が蘇ってきた。

曖昧な返事のまま、僕は改札から出た。
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