その112

文字数 532文字

そうしているうちに、洗車も終わりピカピカになった。

ガソリンは。このカーシェアの基準があってそのラインまで減ってないので今はまだ入れなくていい。

普通のレンタカーと違い、ガソリン代も計算されているので、そういう面では別途考えなくていいのが便利だ。

改めて再スタートをした。

海が見える場所はいい。
海なし県出身だから、海へのあこがれが強いので波の音が心地良い。

うみほたるで満喫できるはずだったのに。

そう思ったが、思い出すとムカつく顔まで思い出すので、今みえているこの景色を存分に味わいたい。

岬と名のつくその場所には、なんだかよくわからない大きなジャングルジムのような建造物が建っていた。

風が強いから、波が高く上がるたびにそれを見ている子どもたちの歓声が聞こえる。

せっかくだから一番高いところまで上り一望する。

ここも見渡す限り、海だった。
そのせいで余計なことを思い出す。

あの晩という言葉がどうしても頭のなかでこだまする。

女性という言葉で、何か思い出しそうだったが冷えてきたので車に戻った。

体が冷えたから、なんとなくシャワーを浴びたくなった。

シャワー。
中西が襲われたという日。

雨で濡れた挙げ句に、飲み物をかけられて知らない女の人の家で風呂に入ったな。とぼんやりと思い出していた。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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