その34

文字数 632文字

サトウ商事の 中西が意識不明の状態で発見された。
・・・らしい。
それで、重体だという。

救急車で運ばれ、その場では一命を取り留めたらしいのだが、いまも意識不明のままで入院しているという。

警察の人からの又聞きだけど、まさかドッキリじゃないだろうから、危険な状態なのだろう。

そして、日付が変わって6月1日の未明にもう一つの会社、株式会社カブトの森宮課長が死亡したそうだ。

当時、どちらも地域のニュースとして取り上げられていたらしいのだが、あまりニュースを見ない僕はそんな事も知らなかった。

僕はその2週間位前に、月に数度ある外回りの取引先との営業で外出した際、本当に偶然にその二人に会った。

それはまるでコントのような偶然 だった。

それが、三井刑事が言っていた5月の中頃。

僕の仕事には月に数回、外回りの保守点検という作業込みでの業務がある。

僕は、SEという分野の仕事をしている。

その中でもこの会社に入ったばかりだから、提携先に出向いて保守もしなければならない。

普段は、会社の前の担当者がうまく調整してくれていて、月に数回の外回りとして外に出ても、週に1回で用事が済む様にと、スケジュール立てて、契約されている。

ただ、緊急な要件が入ってしまい 、その週に限ってうまく調整出来ずに、同じ週の別日に案件が分かれてしまった。

仕方がなく、2日に分けてしまったそれぞれの日に出かけたのだが、その行った先の周辺で、先述の二人に出くわしたのだ。

会いたくないのに。

それでも、一か所はまだ、わかる。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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