ACT12

文字数 852文字

「しかし 、どうしたんですか?」
「ちょっと、聞き込みしてて腹が減ったからそこで休んでたらたまたま見かけて。」
親指で、後ろのカフェを指差す。

「あれ、浅霧さんも一緒ですか?」
「うん、そこに・・・。」
と、振り返って初めて浅霧さんが居ないことに気づいた。

察した島田は、
「結城さん、相変わらず大変ですね、ご苦労さまです。」
と、労ってくれた。

そういう経緯を知らないので、三井と紹介された女性は脇で立って様子をみてるようだ。

まあ、浅霧さんがいない・・・それはいい。

迷惑なのは・・・片付けてからいかないから、店員さんが片付けているじゃないか・・・。
(店員さん、ごめん・・・。)

まあ、そういうお客も多少はいるからなのか、サササッと片付けて行ってしまった。

浅霧の事はとりあえずほっといて、目の前にいる二人にどうしたのかと聞くと、簡単に経緯を教えてくれた。

5月31日に起きた、事件か事故かまだわからない案件なので、まだ所轄だけで動いていたようだ。

「で、聞き込みしていったら、先月の今頃、被害者と揉めている男性が居たと証言が上がって、その聞き込みの○対が今の・・・。」
と、教えてくれた。その後が不思議だった。

島田によれば、今本人たちも知ったそうでちょうど同じ時期に、同じような事件があって同じように揉めていたという人物が浮上し、今去っていった北芝署でもさっきの男性が目撃されていたという。

こちらも、事件か事故か不明な段階だったと言うので、この件がそれぞれ上に上がると我々のところでも概要が上がってくるかもしれない。

似たような時期に、それぞれの被害者と揉めて居た人間が、同じ日に警察から聞かれる。偶然にしてはどっち側にしてもできすぎている気もする。

「しかも、あっちの件も日こそ跨いではいますが数時間内に起きてるんですよ。
だけど、その日に今の男性、江尻っていうんですけど、その日の接点が見つからないから、とりあえず、今日のところは揉めていたことだけを確認して終わった次第です。」
ふーん、なるほど・・・と思いつつ僕は気づいてしまった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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