ACT87

文字数 797文字

「まあ、やらせないと育たないからね、俺らもなんだかんだと若くないから手を抜けるとこは抜かないと。」
と、今日集めた三人を思う。

警察というところは、異動も多い組織だ。

自分の下にいなくたって考えられる行動を取るヒントをつかめればいいと思っている。

御幸の方に上がってきた報告。
どうやら江尻は免許を取得しているそうだ。

住んでいるマンションに車を置いている形跡はない。

実家は割と近郊のようだが、浅霧が考える限り1日以上使用するなら、実家から借りることはしないだろう。

レンタカーについては少なくても大手のもので借りている形跡はないらしい。

「小さなレンタカー屋を今あたっているそうだ。」

と、電話を切りながら教えてくれた。

免許センターが警察の管理化であるのは誰もが知っている周知の事実なので、個人ごとの免許の有無は調べるのは容易なのだが、車の所有ならともかく、容疑リストの順位が下ったと思われるので、レンタカー会社へ当たらせることを目立って行動できない。

そういう意味では御幸は自由に動ける。

タクシーを拾えそうなところへと向かって歩いていると、今度は浅霧の電話が鳴った。

結城からだった。

本間も免許を持っているものの、実家も遠くに車を所有しているものはいないようだという。

こっちは今レンタカーの方を調べているらしい。

「浅霧さん、言われる前にこっそり江尻にも免許があることは調べましたよ。車の所有は本人にはなく、父親のみでした。」
と、報告してきた。

既に知っているとは言わずに、一応労って引き続き本間の件で確認を『なる早』でと伝え、なにか言っている途中で通話を終了した。

「大きな組織なのに、なかなかはかどらないもんだね。」
そんなことをぼやいていると、御幸が月極と書かれた駐車場の前で立ち止まっていた。

「この系統も調べるように言わないと。」
と、指差す先に1台の車があり、その前になにか目印があった。

カーシェアの表示だった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み