ACT21

文字数 549文字

浅霧さんは後にも先にも1回だけ、ダメ出しをした。
それも、公衆の面前で笹沼副総監を巻き込んで。

それは、副総監が多分わざと浅霧さんの前でやって、乗った身内同士の話。

僕らの知らない色んな含みが二人にはあって、それには誰も介入できないのだけど、一見仲が良さそうにみえる延長でそれは行われたから、副総監自身も後日、減俸処分を課していた。

知ってて見てたので、ヒヤヒヤしたのを覚えている。
まあ、今回は事が大きいことなので、いずれどこかで朝霧さんが話し出すかもしれないので、僕の口からは言わないでおこうと思う。

まあ、そんなこともあったので、そこに忖度が入り乱れ、あとは何もしなくても動き出しているだけ。

当の浅霧さんは、大の大人たちが滑稽だろと言って、放置している。

まあ、きっと副総監は朝霧さんが思っているほど関係が良好じゃないとは思っていない。

上にいる人は、色んな意味でしたたかじゃないとやっていけないのだろうと僕は思っている。

けれど、そんな事を知らない小心者な人たちは浅霧さんが苦手なのだ。

きっと僕以外は、浅霧さんと一緒に動くのはとってもやりにくいと思っている。

だって僕も、時々やりにくいから。
彼は、自由人だから。

自由に動けるようになるためには、忖度もそして得体のしれない友人も利用している人。

それが朝霧さんだ。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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