その49

文字数 872文字

プライバシーだとか肖像権とか、やたらと一般人まで騒ぎ立てている世の中で、なぜにあんな長い望遠レンズを必要とするのか分からない。

最近ではカメラで動画も取れるそうだから、そういう人が使うのかもしれないが、僕には縁遠い代物だ。

一方のスマホも、特に毎年追いかけなくても便利さに飛躍が無くなってきた気がする。

ガラケーと呼ばれる携帯電話よりも、僕らの世代はスマホを使用している時期が長い。

ただ思い出せば子供のころ、父が仕事で持ち歩くようになったとかで僕の届かないところで充電用に立てて置いてあるおもちゃのような電話に興奮したのはいくらか覚えている。

送れる文字数が増えたとか、写真が撮れるとか言って喜んでいる思い出は母の笑顔だ。

両親が折りたたみのケータイを買ったころ、ちょうど中学生になったのを記念に、持つことを許された時の喜びは、やっと買ってもらえたという喜びと、色んな機能が搭載された人気機種じゃなく、母のパート先での関連だからという理由で、そんなに人気のない機種を実はただのノルマで頭数に入れられた結果だと知った時の悲しさが入り混じった、携帯デビューだった。

まあ、それでも形だけは携帯持ちになったので、友達に小ばかにされなくはなっただけましだった。

今思えばあの小さい画面で、飽きるまでゲームをしていたのが滑稽だ。でも、当時は楽しかった。

いつの間にかテレビが見れるようになったり、ネットで調べるのも割と簡単になっていった。

大学に行って、本格的にバイトをし始めたころ、そういう流れでどんどんと新しいものに変えていった気がする。

しかし、ほぼ出回ってあとは使いたいものの進化を求める人は付随品を付けていくが、僕のように音楽も聞かず、写真もそう取らない人間からすれば、充電コネクトの部分が安定してからは、ネットで調べたり送られてきた資料を確認できるこの程度のスペックで十分で、こっちも3年位同じものを使っている。

ただ、あと1~2年でバージョンアップ出来なくなる噂を聞いたので、その時は仕方がないから買い換えると思うけど、多分パソコンと一緒で型落ち品でいいと思う。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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