その52
文字数 581文字
めんどくさい・・・。
しかしこんなところで、誰かの印象に残るようなやり取りをしたくないので、仕方がなく、
「そうですね。」
とだけ、答えた。
顔を見ちゃいけない気がした。
視界の端で捉えつつも、違う機種を見ているふりをしながら、少しずつ離れようとするのに、同じくらいの距離でついてくる。
業を煮やして、つい僕から声をかけてしまった。
「あ、あの、僕に何か御用ですか?」
らしくない。
この人のペースにちょっと負けてしまった。
「いえ、ちょうど同じ様な時間にコワーキングスペースに入られるのをお見かけし、私が出ようとしたら、ちょうどあなたも帰られるタイミングでして。
でも、もう少しだけ時間があると思って、立ち寄った次第です。
まさかここでもお見かけしましたので、こういうタイミングが合うときというのはと、何か縁を感じてたところだったんですよ。
そしたら、あなたは以前から私が気になっていた商品にばかり目を向けて行くので、参考までにお伺いしたくなった次第です。」
そう言われると、不自然なようでこの人なりの道理にもかなっているように思えてきた。
「はぁ、そうでしたか・・・。」
としか、答えようがなかった。
「あ、こんなに話しているのに名乗らないのは失礼ですね。
私、こういうものです。」
といって、名刺を出してきた。
あとは、住所と電話番号とアドレスが書いてあるだけの名刺だった。
「なんでも屋・・・。」
しかしこんなところで、誰かの印象に残るようなやり取りをしたくないので、仕方がなく、
「そうですね。」
とだけ、答えた。
顔を見ちゃいけない気がした。
視界の端で捉えつつも、違う機種を見ているふりをしながら、少しずつ離れようとするのに、同じくらいの距離でついてくる。
業を煮やして、つい僕から声をかけてしまった。
「あ、あの、僕に何か御用ですか?」
らしくない。
この人のペースにちょっと負けてしまった。
「いえ、ちょうど同じ様な時間にコワーキングスペースに入られるのをお見かけし、私が出ようとしたら、ちょうどあなたも帰られるタイミングでして。
でも、もう少しだけ時間があると思って、立ち寄った次第です。
まさかここでもお見かけしましたので、こういうタイミングが合うときというのはと、何か縁を感じてたところだったんですよ。
そしたら、あなたは以前から私が気になっていた商品にばかり目を向けて行くので、参考までにお伺いしたくなった次第です。」
そう言われると、不自然なようでこの人なりの道理にもかなっているように思えてきた。
「はぁ、そうでしたか・・・。」
としか、答えようがなかった。
「あ、こんなに話しているのに名乗らないのは失礼ですね。
私、こういうものです。」
といって、名刺を出してきた。
あとは、住所と電話番号とアドレスが書いてあるだけの名刺だった。
「なんでも屋・・・。」