ACT25

文字数 446文字

「君たち、いじめられたことある?」

唐突に聞かれた。真面目そうな三井は
「いえ、私は経験しませんでした。」

それに対して、返事をせずに視線だけ三井から結城に移す。お前はどうだ?ということだ。三井は驚いている。

「僕もいじめられたことはないです。でも、クラスメイトにはいました。」

「そう︙。」

「じゃあ、目をそらすときってどう言う時?」

視線は三井へ向かう。

「そうですね、見たくないものがあれば。」

また視線だけ、結城に投げかけられる。三井はちょっとペースをつかめたようだ。

「同じですね、見たくないもの。」

うんうん、と頷く朝霧。

「例えば、怒っている班長が見えたら、結城はどうする?」
割と近くにいるのに、聞こえるか聞こえないかの声で結城に聞いてきた。

班長は、別のメンバーに指示出しをしているので、きっと聞こえてはいないが、見えている空間でいうのは躊躇われる。

でも、それよりも早く言えという朝霧からの圧力に屈して、
「避けますね、極力。」

「本庁の食堂、広いだろ?」
「ええ、まあそれなりに。」
何が言いたいのだろう︙。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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