その76

文字数 570文字

バス停まで向かうと、ちょうどバスの姿が見えた。

急いで列の最後尾に並び、空いている席に座った。

けれど出発時間まで早いから、直ぐに出発しない。
ここで時間調整をするのかもしれない。

その間に受付から回収した名刺は、元の名刺入れに戻した。

まさか返してもらえるとは思わなかった。

ただ、残念な事に本当にスマホがない。

さっき、電車の中ではあった。

なくしたとすればタクシーの中では一度も出してないから、電車の中か駅周辺だ。

メガネを出したときとかに落としたのだろうか。

お見舞いなんて余計なことをしなきゃよかった。
と、自分の行為をちょっと詰(なじ)った。

バスが出発したら思いの外、遠回りして駅に戻された。

やっぱり、タクシーにしておけばよかったと反省した。

メガネを付け続けているとつかれるので、思い切ってメガネを外す。

ぼんやりだが案内の表示くらいはわかるので、そこまで行き駅員さんに声をかけた。

「忘れ物」はここではわからないから、ターミナル駅へと言われた。

この後、一旦会社に戻らないといけないので、会社に少しでも近い方のターミナル駅へと行くことにした。

電車に乗ると、また座れた。
視力が悪いまま立つと危険だが、度の合っていないメガネなので、あまり長い時間付けていたせいか頭痛がするので、まだ暫くは付けたくない。

折角座れたこのタイミングで念の為、もう一度カバンを探る。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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