ACT42

文字数 800文字

江尻がカブトを退職後に入社したのがサトウ商事だった。そこも数年勤務しているが、退職は急なことで一身上の都合ということだった。

こちらは少し協力的にはなしてくれたのが、江尻が何回か会社に設置してある社内相談窓口を利用したことについてだった。

対象者については守秘義務だと言うことだったが、多分相手は中西だろうと考えられる。

こういった行為は、パワハラやモラハラに当たらないのか?ということで、具体例をいくつかまとめて来たが、それに対して調査して江尻と対象者に対する周りの評価や見て取れる行為・行動に対してハラスメントに当たらないという評価をそこでは出したそうだ。

しかし、不服だったのか自分の思いが届かなかったと失意したのかわからないが、その申立の結果を聞いて1ヶ月後くらいに退職したそうだ。

そして阪本は、江尻が退職する数日前に入社している。

一見、そこでの接点があるように見えたが、退職半月前から有給消化をしていて、引き継ぎ相手でもなかった。

被害者の中西は、部下に厳しい存在ではあったが、森宮のようにハラスメントを訴える人間は殆どなかった。

ただ一部の人によっては、モラハラやパワハラと受け取った人もいるかも知れないということだった。

「被害者について、もっと詳しくわかる事があれば…。」
ということで以前所轄が調べた資料が配布された。

森宮はカブトの会社の社長の親戚だそうだ。

ただ、親族の中では一番格下の立ち位置で、形式上課長という役職はついていたが実際は、大きな仕事は優秀な部下についていくだけの存在で、そういった部下の成績で安泰にみえるような立ち位置だったようだ。

社内インフラや情報管理は情報管理部があり、そこに所属していたのが江尻や本間だった。

社内では箝口令が敷かれていたが地道に聞き込みを進めると、被害を受けている人間はたくさんいたようで、飲み会なんかでかなり迷惑な行為をしている場面を何回も目撃されていた。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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