Disclose54

文字数 425文字

遺体になった結果を引き渡す際にほんの少し会っただけだから、健太郎は案の定覚えておらず、
「そうでしたか、その際は…。」
と視線を合わせずに恐縮ばっている。

ただ、結城はそんな姿勢と裏腹に、男一人所帯になったはずなのにこざっぱりとしていることに、感心した。

写真の脇に、小さいながらも花瓶があり、ほんの少し花が添えてあるがそれも萎れてもなく、いきいきしているのも目に止まった。

そんな感想をよそに

「落ち着きましたか?」
と浅霧が切り出す。

「ええ、まあ。」
と伏し目がちに言う。

「独立されたとか…。」
「社長とは、なんだかんだと20年の付き合いで、今回の件で迷惑かけるから、辞めるって言ったら親身に聞いてくれて、生きていかなきゃならないだろうって。」

といい、その社長の親戚の家で数年誰も住んでいなかったこの場所を安く譲ってくれたそうだ。

平屋の一軒家だが、なんとか1台だけ車が止められるくらいのスペースが有り、そこにタクシーが置いてある。

「今日は、お休みだったんですか?」
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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