ACT36

文字数 609文字

パソコンのほうはというと、念の為電源を入れたがビクともしない。よく見ると、裏を開けた後がある。

どうやらHDは抜いたようだ。
しかし、見当たらないからここにはないらしい。

既に処分済みではない。
ゴミも確認させている。

だからといって、使えなくしたものをいつまでも持っているというのもしないだろう。

念の為、この辺一帯に廃品回収の業者のチラシを撒いておこう。

広告バナーも拾えるように流させる。

そう考えながら、メールで指示を出す。
ネット上のバナーは普段自分がよく見る物が流れたり、その地域のものが流れたりする。
その辺りを細工してもらう。

用心深いが、本人が思っている証拠になりうるものと、御幸が思っている証拠やヒントになりうるものが違う部分があるはずなので、運が良ければ用心深いからこそ利用する可能性が上がるはずだ。

江尻が消し去ろうとしている部分では1mmも情報を引き出せないかもしれないが、手放してくれれば何かしらの情報が手に入るかもしれないことに賭けない手はない。

他にめぼしいものはないかと、更に部屋の中に視線を這わせる。
パソコン関連の本が何冊か置いてある。

どれも最新版だ。

冊数は少ないが、基礎的な部分の本や資料がないのでそういった物は既にデジタル化されているか、かなりの記憶力で全部覚えているかどちらからしい。

ITの環境整備からシステム構築、プログラミング系、デザイン系、データベース系・・と、何でも出来るらしいことは分かった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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