ACT81

文字数 547文字

「あまり詳しくは無いですがこういう職種だと年収、4桁行く会社も有るんじゃないでしょうか。」

浅霧も疎い分野なので、三井からのそういう意見は参考になるようでその話のときだけは目を開けて聞いていた。

「三井くん。そのへんのことは、俺らは得意じゃないからさ、そっち方面に詳しい部署に、その三人の経歴とわかっている限りでできそうなことを聞いてきてくれる?」

「承知しました。」

「あ、そうだ。ついでにさ、そこの課長に柴崎っていうのがいるから、あの晩の三人の行動も探ってきて。俺が大至急って言ってるって言えばいいから。」

「と、言いますと・・。」
「彼らは通勤しているでしょ。」

「あ、なるほど。承知しました。」
多くを語らなくても何をしてもらいたいのか察したようだ。

気がつくと、三井はもうコーヒーも飲み終わっている。

財布を出そうとしたので、浅霧は追い払うような仕草をした。

三井が一人で出ていこうとするのを、結城が島田の足を蹴って一緒にいけよと合図した。

島田は慌てて飲み干して、一緒に出ていった。

島田の姿が見えなくなると、結城は思い切って聞いてみた。

「本間はどこに行ったんですかね。」

「・・・」
それには答えてくれない。

浅霧が何も言わないことで嫌な予感が頭をよぎる。

浅霧さんは本間について最悪の想定をしているんだと思った。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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