Discloseー33

文字数 590文字

この2人を選んだのが結果だった。

2人を含め彼らそれぞれに、森宮氏、中西氏に不満を抱いていた。
その負の感情を育てるのは割と簡単に進められた。

色んなバナーの合間に、いかがわしい仕事の斡旋を受ける掲示板へと誘導することを仕組んだ。

もちろんそのサイトは架空のサイトで、管理者は結果だった。

たくさんの人間がそのサイトを閲覧しているように見えるように作ったのは甫だった。

そのサイト内で上司の悪口を匿名で言い合わせた。

バナー内にHIROBAの案内も含まれていて、大手のコワーキングスペースの案内は何ら不自然じゃない。

HIROBAの支店の中で、甫が再就職した先の近くのこの店を選んで来た数人の中にこの2人もいた。

店を利用させることで、一種の面接だったのだろう。

甫はどうしてこの2人だったかは知らなかったようだったが、結果にはこの先のことを考えていたのだ。

ふたりとも、背格好が甫に似ていた。

実際、病院で甫が本間に変装して立ち寄った理由も見ても明らかだ。

「結果が、『メガネかければあの人に似てるかも。』って笑って言ってたのを思い出して、確認するなら似せようって思って。」
と言っている。

何かあった際に、甫が簡単な変装さえすれば遠目にこの2人になることは可能だった。

実は浅霧も、御幸たちがHIROBA店内での隠し撮りした映像を見せてもらったとき御幸は何も言っていなかったが、そのことを見逃していなかった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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