Discloseー43

文字数 701文字

「車の練習を兼ねて、何回かあのへんを夜中に流しましたよ。カーシェアって本当に時間を気にしなくていいから、便利でしょ。」

と、甫は笑って教えてくれた。
そうやって数回、試した時間通りにその瞬間に遭遇できたのだ。ほぼ計画通りに事が運んでいった。

改めて家に着き、すぐさま結果に報告する。
良い映像が撮れたから、編集して送る。大作になったとその時は思ったらしい。

2人が悦に浸っているのに、陰りが見えてきたのは2人の事件が何故かどこにも報道されなかったことだ。

あの日、豪雨のせいで事故や事件が多発してけが人も死者も総まとめで発表になってしまい、2人はその中にカウントされていた。当初本人たちもそのせいで個々に情報が上がらないから、完全犯罪だと喜んでいたのだ。

完全にその策がうまく言っていたと思っていた理由の一つが、その企てた事故の後にも、何食わぬ顔をして2人が来ていたことも大きい。

事前に2人にはそれぞれ、急に生活リズムを変えると不自然に目立つから、気が付かれないなら半年くらいは普通に今までと変わらないように行動することと念押ししていた。

だから、大丈夫だろうかと不安を吐露してきても、3ヶ月はいつもどおりでその後徐々に入店回数を減らして、徐々にフェードアウトしようとしていて、それぞれ言われたとおりに実行していた。

甫が通っていたのもそれを信じさせるための画策だった。

2週間もした頃、ようやく警察が自分たちのところへと聴取に来た。それも想定内だから、適当にアリバイを伝えればいいという事でまとまっていた。

同じように甫にも聴取の人間が回ってきた。

ただ本人たちの思惑と違ったのは、自分のタイミングが2箇所同時だったことだ。

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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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