その56

文字数 375文字

サビ残を会社でするのはバカバカしいからとは言えず、かと言ってそこまで真剣に情熱的に仕事をしているわけじゃないので、
「まあ、そう見えるなら光栄です。」
と、曖昧に応える。

ふと、時計を見ると8時になっていた。

「あ、いけないもうこんな時間だ。」
そう言い出したのは、御幸さんの方だった。

御幸さんは立ち上がって
「急にお声がけして申し訳ないです。これも、何かの縁ですから、よかったらまた。」
と言われた。

断る理由もなかったし、今日はここにいるのはたまたまで、今後は、あの場所だけだろうから気軽に

「ええ、また。」

と言うと
「では、お先に失礼します。」
そう言い、去っていった。

思わない形で、知人が出来てしまった。

僕は、もう一周売場をみてまわり店員さんに聞きたいことを聞いて、帰路についた。

ちょっと気分がよくなっていた僕は、今日はコンビニに寄ってお弁当とハイボールを買った。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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