ACT18

文字数 661文字

浅霧が、 もうこの事件にほとんど興味が無いことを、結城は察している。

まあ、余程のやつじゃない限り、今に限ってはきっと新しいおもちゃを手に入れたばかりの5才児のような顔つきをしているだろうから、バレバレだろう。

伯父あたりに見つかったら、人が死んでいるのだから浮つくなくらい言われかねないことも、自分では理解はしている。

その点だけは、いささか反省してはいる。反省だけ、だが。
でも、仕方がない。

死んでしまった者は、どんなにアクションしても生き返ることは無い。
その行為を行ったものが、その本人いがいなのだったら、償わせなければならないということだけなのだ。

さてさて、御幸からの話を総合すると、重体の方の人間に依頼されているようだ。

何かしら、あいつが関わっている。
なんか、もう一度会える気がしてきた。

俺の好奇心を更に駆り立てる。

雨の日。

あの事件から、雨にまつわる事件になると、どうも惹かれてしまう。
たいてい、普通に怨恨とか強盗とかありきたりで他愛ない内容で終わる。

しかし・・・。
雨は必然なのか、偶然なのか。

少しの時間、聞いた話を頭に整理して今日は帰ろうと思ったところ、御幸から電話がかかった。

「この後、片思いの彼と少し会ってみようと思っているんだ。」

「そう、こっちは今の恋人ともう少しだから、しばらくは任せるよ。
でも、相思相愛のようだから、きっとあっちから来てくれる、そんな予感がしてきたからね。」
いつもこんあそんな言い回しで遊ぶ。

電話を切った御幸は、
「クロちゃん、もう今日は帰らないからあとはご自由に。」
といい、事務所を後にした。

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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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