Discloseー23

文字数 639文字

浅霧は タブレットを取り出す。
「最近は便利だね。前はね、いちいち印刷しないと使えなかったけどさ・・・。」

と言って、テーブルの上に置き画像を見せる。

夜。そこに一台のタクシーが写り、一人の男性が乗り込むところだった。

ナンバーは最初の一枚と同じ。

「あなたのお父さんは、個人タクシーだからこれはあなたのお父さんが運転している。そして、この男性・・・。」

間違いなく、江尻だった。
江尻は画像に一応視線を合わせてはいる。

「この場所、どこだかわかります?」
江尻に視線を投げかける。

「・・・」
画像をみてはいるが何も言わない。

「こっちも見て。」

駐車場で、車を降りる江尻。
その車のナンバー。
別の場面に変わり、車に乗り込むところ。
次々とスクロールしていく。

見覚えのある風景が車の背景にある。

気がついて思わず、浅霧の方を見る。
浅霧さんはおもちゃを手に入れたばっかりなので、結城のことなんてもうすでに眼中にない。

そこに写っていたのは、紛れもなくあの病院だった。
結城が植木の間から待っている間、ずっと見ていた光景。

中西氏が入院している病院だ。

彼は、なんで夜に写っているんだ。

「すごいでしょ、これ全部一昨日の写真だよ。
まあ、江尻さんあなたはよく知っているよね、デジタル画像には撮った日時と場所が記録されるって。病院に何しに行ったの?」

「・・・」

「因みにこの時間の30分後に通報が入ったんだよね。とある病室で事故になりかねないいたずらがされたようだって。偶然?」

「・・・」

「江尻さん、あなたは何を恐れているの?」
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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