ACT29

文字数 550文字

「それにね、江尻は4人と別れたあと、笑ってたんだよ。ますます興味深いやつだろ?」

そう言って、嬉しそうに浅霧は写真を手にとった。

三井はというと、その写真を睨みつけている。

そういう態度をされていたことを嬉しく思わないはずがない。

「まあ、犯人かどうかはさておき、こんな面白い観察対象他にいないよ。まずは人となりを探っておいで、二人で。」

急に指示をされた。

「いきますよ、結城さん。」
三井は、ジャケットとバックを手にとって先に出ていった。

「え?浅霧さんは?」
手をヒラヒラしている。さっさと行けということらしい。

一瞬、背後に殺気を感じた。
あっちを見てはいけない、と警告音が頭の中で響く。

結城は、逃げるように部屋をでた。

遠くから、班長が
「結城、どこへ行くんだ!」
という怒鳴り声が聞こえる。

暫く、顔を合わせないようにしよう︙、と結城は小走りで三井を追いかけた。

***

結城たちを追い払った浅霧は、まだ写真を眺めていた。

班長がツカツカとやってきた。

「おい、浅霧。なんであいつら、二人で出ていったんだ。結城はお前につけてるのに。」

「ちょっとしたお使いですよ。暑いでしょ。いま出ていったら疲れますからね。そういうのは若いのにお任せですよ。」

と、班長を見ずに答える。

「だいたいお前が・・・!」

そのタイミングで、スマホがなった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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