その108

文字数 781文字

僕に、何かしらの危害を加えようとたくらんでいるに違いない。

ここでさっきまでほんの少し満喫していたので完結しようと思っていたドライブを、気分転換を延長することにした。

車に乗り込もとした時に、急いでいたので鍵を落としてしまった。
モタモタしていて、彼がここに来たら気分が悪い。

急いで乗り込み、鍵をかける。

姿勢を低くして、あたりの様子をうかがう。

その間にスマホを見る。

指紋認証の機能のせいで、朝見ていたニュース一覧へと飛んだ。

今はじっくりとこれを見る時間はない。

近くのいけそうなスポットを探す。

もし、万が一あいつが追いかけてきてもすぐ曲がったりできそうな複雑な方角へ行くことに決めた。

探しながら、さっきの言葉が頭の中で反芻する。

「あの晩」
とは、いつのことなのだろう。

そんなことを考えながら場所を選んでもなかなか決まらない。
千葉にはいくつか展望がいい場所があるようだ。

とりあえず、そこに向かおう。

有名な牧場方面だと混んでいて、渋滞にハマると逃げられなくなるので、極力その方面だけは避けることで2~3個候補を絞ると、目的地と経由地に入れて、出発することにした。

走り出してから、
「あ、メロンパンを買うつもりだったのに。」
と、思い出したがまた今度来ればいい。

何なら帰りに寄るという方法もある。

何台かの車を見送ってから、千葉方面に向かう車の後ろに合流した。

走り出してもまだ少し
「あの晩」
という言葉が頭の中で反芻していた。

「あの女性」
とも言っていた。

女性と一緒にいることなんて、職場でミーティングでもしない限りない。

この前の病院では、ほんの少し受付の人と話していたが、晩じゃないし迷惑なんてかかっていない。

ただ、気になるが今は集中しよう。

今日は少し横風も強いので、幸いにも80km/h表示だが、腐ってもここは高速道路だ。

速度制限が出ていようと、飛ばしてくる輩はたくさんいる。

それに。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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