ACT68

文字数 386文字

その時、2番目の受付の人と話したことを思い出した。

写真を撮ろうと思ったが、スマホが見当たらないと言っていた。と、証言してくれた。

名刺を取り戻すだけじゃなく、壮大なる計画の中でのことなのだとしたら、どこをどう切り取ってもいいようなストーリーで動いている江尻が恐ろしい。

口実だと思っていたことも、フラグでしかないかもしれない。

いつか警察が動いて、証言を取りに来て、その事を調べられてもいいように。

「そうか、忘れ物センターがあるその駅に行ってもおかしくない理由づくり。やるなぁ、益々浅霧好みのひねくれたやつだね。」
そんな事を感心しつつも珍しく御幸も苛立ちを隠せない。

映画やドラマの中ほど、犯人の背景にストーリーがあることはあまり無いように感じる。

しかし、ミスリードを誘うようにあらゆる罠を感じる。

その証拠に、久しぶりに彼が爪を噛んでいるのを見た。
最近じゃあまり見ない仕草だった。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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