Disclose28
文字数 690文字
その報告が未だに嘘か実際は本当かわからない。
誰もその話を話題にしないし、母が信じない限り義父から答えを聞き出せるかわからない。
ただ、日に日に居場所をなくしていく妹が不憫になってきたので甫はある提案をした。
「逃げたいなら、父さんのところへ行ったらどうだ?」
と。
タイミングとしては最高だった。
妹が行きたいと選んだ高校が、父の住んでいる近くだったからだ。
そのタイミングで、母の了承を得て結果だけ父の元へと行った。
不思議だったのはどこか義父が安心した顔をしたことだった。
ほんの少し、そのことだけが頭に残っている。
ただ父はというと、そのころもまだギリギリの生活をしていた。
大学の頃、結果のこともあって義父とも母親とも少し距離を置きたいと考えて一人暮らしを始めた延長で、就職してからもほんの少し家賃援助をしてもらいながらその部屋に住み続けていた。
結果も大学に入学したものの、段々と父親の給料だけでは学費も厳しくなってきたこともあり、江尻の家には内緒で少しずつ援助し始めた。
そのせいもあって、甫はカブトを辞められずに我慢することとなる。
そして甫の頑張りもあり結果が無事就職した先がサトウ商事だった。結果が就職して1年位経過したころのはなしである。
名字が違っていたので、会社の中でも人事部の一部の人しか兄弟だと知らなかったようだ。
紹介した手前、そこは報告しなければならなかったのだという。
甫の仕事が会社の中での主軸になってきた頃、結果はつきまといの被害にあっていると、社内のコンプラ委員会へと申し出ている。
委員会と言っても会社の課長クラスが持ち回りで担当していて、結果と何回か話し合いが持たれた。
誰もその話を話題にしないし、母が信じない限り義父から答えを聞き出せるかわからない。
ただ、日に日に居場所をなくしていく妹が不憫になってきたので甫はある提案をした。
「逃げたいなら、父さんのところへ行ったらどうだ?」
と。
タイミングとしては最高だった。
妹が行きたいと選んだ高校が、父の住んでいる近くだったからだ。
そのタイミングで、母の了承を得て結果だけ父の元へと行った。
不思議だったのはどこか義父が安心した顔をしたことだった。
ほんの少し、そのことだけが頭に残っている。
ただ父はというと、そのころもまだギリギリの生活をしていた。
大学の頃、結果のこともあって義父とも母親とも少し距離を置きたいと考えて一人暮らしを始めた延長で、就職してからもほんの少し家賃援助をしてもらいながらその部屋に住み続けていた。
結果も大学に入学したものの、段々と父親の給料だけでは学費も厳しくなってきたこともあり、江尻の家には内緒で少しずつ援助し始めた。
そのせいもあって、甫はカブトを辞められずに我慢することとなる。
そして甫の頑張りもあり結果が無事就職した先がサトウ商事だった。結果が就職して1年位経過したころのはなしである。
名字が違っていたので、会社の中でも人事部の一部の人しか兄弟だと知らなかったようだ。
紹介した手前、そこは報告しなければならなかったのだという。
甫の仕事が会社の中での主軸になってきた頃、結果はつきまといの被害にあっていると、社内のコンプラ委員会へと申し出ている。
委員会と言っても会社の課長クラスが持ち回りで担当していて、結果と何回か話し合いが持たれた。