ACT35

文字数 502文字

タバコを吸いながら、遠ざかっていく浅霧を見送ると、とおり雨の外観を眺めた。
浅霧の周りには、変わり者がよく集まるな︙と、御幸は考えていた。
スキだらけのようで、そうでもない不思議なマスターだ。

「まあ、俺は変じゃないけどね。」

浅霧には遠回しで伝えたが、あの日、予感めいた物を感じ、江尻の部屋に入ると荷物の整理が始まっていた。

そしてご丁寧に、パソコンが一台ショートした状態で発見された。

部屋の中をざっと見回す。

ただ引っ越すだけなのか、それとも仕事も変えるのかはまだわからないが、近々で使わなさそうなものは捨てるようにまとめるか、ダンボールに入れられている。

部屋で使用されている、調度品たちにこだわりが感じられないのは、

普段そういう違法行為は浅霧には伝えないが、そのくらい切迫している事を伝えておく必要性があったから今回は匂わせた。

今回は、浅霧にも少しでも早く自分と同じあたりまで江尻に踏み込んでもらわなければならない。

急かさせるためには多少、手の内を見せなければならなかった。

警察の厄介さ。

御幸はその中で生きる浅霧がもどかしくて仕方がない。
厄介さを嘆きつつも、浅霧が警察という存在が好きなことも承知しているのだ。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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