その74

文字数 305文字

そこで、また良いことを思いついた。

僕は受付に行った。

「すみません。」
そういうと、笑顔で口紅の赤い女性がこちらを見た。

「はい、承ります。」
言い方も優しい。

「先程、こちらにいた方に名刺をお渡ししたのですが、恥ずかしいことにこの後、立ち寄るところにも名刺を出さなければならないのに、その名刺が手持ちで最後の一枚だったことを思い出してしまって。
そこで大変申し訳無いのですが、近くで名刺を作るのに写真を一枚取りたいんで、一旦戻してもらってもいいですか?」
と、試しに言うと何の疑いもせずに
「少々お待ち下さい。」と言って隣の席の当たりを探った。

お目当ての名刺はすぐに見つかったらしく、
「こちらですか?」
と言って見せてくれた。
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登場人物紹介

江尻甫(えじりはじめ)・・・このストーリーの主人公。都内の会社でSEとして働いている。ある日、警察から事情聴取を受ける。

浅霧・・・警視庁の刑事。少し風変わりだが優秀。自分の気に入った事件にはものすごく集中して動く。

結城・・・警視庁の刑事。浅霧の同僚。

御幸・・・なんでも屋。浅霧の大学の同級生。違法行為も行う。

三井・・・所轄の新人刑事

高橋・・・浅霧行きつけの喫茶店のマスター

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